喜多直毅 ヴァイオリンソロ リサイタル@ソノリウム
針が落ちても聞こえるような静寂のなか、弓の端で弦をピアニシモで鳴らす音から始まりました。少し異色の雰囲気だったのが『浅草の夜のにぎはひに』かな?私の気持ちに一番深く刺さったのは、いくつかの場面で現れた掠れるような、ひそやかな音色です。
配布されたプログラムの最後の曲目が『空に吸はれし心』だったので、これが異界から現実に戻るための仕掛け?と想像していたら、ここで物凄い力が来ました。拍手が鳴り止まず (私は魂を抜かれた為あまり拍手していません)、アンコールに『星がまたたく』。これは…齋藤徹さんの曲。途轍もなく美しかった。涙と鼻水の音が出ないようハンカチでどうにか防ぎました。ダブルアンコールもあり。
すごい夜でした。なので私も普段より夜更かしです。
6月27日
喜多直毅 (作曲・ヴァイオリン)
この日は齋藤徹さんとの即興演奏リサイタルの予定でした。が、徹さんが5月18日に逝去され、公演内容がヴァイオリンソロに変更になったのです。経緯とご自身の思いを喜多直毅さんがブログに詳しく書いてらっしゃいます。
http://nkitavln.blogspot.com/2019/06/blog-post_29.html
プログラムが配布され、下記の1から8の曲名が載っていました。曲間のMCはありません。譜面を床に落としたところで区切りだとわかります。しかし、『ふるさと』『残された空』は確かに部分的に入っていたし、『雪女』というタイトルは初めてだと思いますが旋律は聴き覚えがあったりしました。ライヴレコーディングを行っていたので、アルバムになるのが楽しみです。喜多直毅クアルテットの曲をヴァイオリンだけで演奏するためアレンジが大変で、ギリギリまで”産みの苦しみ”の様子が直毅さんのツイートに出ていましたね。単旋律楽器と和音進行のこと、私は専門的にはわかりませんが、バッハの無伴奏曲のようなところがありました。緻密に構築されたアレンジとその演奏はすごかったです。でもね、8曲のなかで一番心を揺り動かされたのは『空に吸はれし心』の旋律だったのです、私は。
アンコールの徹さんの曲は、やっぱり徹さんのことを思って泣きました。
1. 雪女
2. 春
3. 吹きすさぶ針
4. 燃える村
5. 浅草の夜のにぎはひに
6. 焦土
7. 悲愴
8. 空に吸はれし心
アンコール1;星がまたたく(齋藤徹作曲)
アンコール2;Cancion Para Mi Guitarra Sola