もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

Farha(常味裕司×海沼正利×西田ひろみ×喜多直毅×吉野弘志×和田啓、+松本泰子、濱元智行)@音や金時

常味さんはストレートに「楽しかった?」とか「どうだった?」とか終演後によく聞いてこられるのです。
私の返事。「(勿論)楽しかったです!!!」
旋律はある種単純。「バシュラフ・ラスト」なんて馬鹿みたいな大ユニゾン大会(笑)でもね、これが楽しい、心地良い。
アラブ音楽の(たぶん)王道を行くヴァイオリン、西田ひろみ。
そして、バンドの音に豊かさと多様性をもたらすもう一人のヴァイオリン、喜多直毅。今夜は「クルダカンレ」でばっちり主旋律もソロも有り。最後の高音域のまるでノイズのような音も良かった!「ボルボルの巣」のタクスィームは鳥のさえずりのようで魔界への誘いのようで、突き抜けて美しかった!


アンコール一つ目の「Fi youm Wi Laila」を聞きながら、「生きてて良かった」と真面目にそう思いました。


12月29日
Farha
常味裕司(ウード)
海沼正利(カーヌーン)
西田ひろみ、喜多直毅(ヴァイオリン)
吉野弘志(コントラバス
和田啓(レク)
ゲスト;松本泰子(ヴォーカル)
飛び入り 濱元智行(フレームドラム、レク)


今年の喜多直毅さんのライヴを聞きに行くのは今夜で終了。
綺麗な音、乱れた音、生きている音、私にとってすべて得難い経験です。
ありがとうございました。


(追記)
音や金時でおこなわれる今年最後のライヴでした。私、12月は5回(1,3,15,20,29日)行ってます。というと随分マニアな感じがするかもしれませんが、たまたま今月は好きな組合せが5回あったのです。


01. Samaai hijaz kar kurd セマーイ・ヒジャーズ・カルクルド (Efendi作曲)
左から西田、喜多、吉野、和田、少し前に常味、海沼といういつもの並び順でした。
海沼さんのタクスィーム(ひとりでやる即興演奏)。
嬉しい、楽しいファルハ!大好きです。
02. Cleopatra クレオパトラ (Mohammad Abdelwahab作曲)〜
03. Al Nahr Al khalid 永遠なるナイル (Mohammad Abdelwahab作曲)
喜多さんすごく派手なビブラートかけてました。


04. Toota (Farid al-Atrash作曲)
05. ファッカローニ
これは、ファルハでやるのは初めてだそうです。ウンム・カルスームのために書かれた曲で、ちゃんとやると1時間かかる曲のダイジェスト版。
元の曲がそうなのでいつかエレキギターでやりたい、と常味さんおっしゃってました。
エレキが良いかどうかはわかりませんが、ダイジェストじゃなく、歌詞もわかって一度聞いてみたいです。
ヴァイオリンソロ、1回目喜多さん、ブルースぽい部分も有り。2回目西田さんでした。
06. Uch el Bolbol  ボルボルの巣 (Mohammad Abdelwahab作曲)
喜多直毅タクスィームあり。高音域の小鳥のさえずりのような音から始まりますが、決して一色ではなく曇ったり晴れたりします。力で押すばかりでなく、引くところが素晴らしい!


休憩
(近くの席の方たちが「あのヴァイオリンの人すごいね、男性の方」「俺1枚CD持ってるけど、歌が入ってる曲もあって、暗い方へ暗い方へ行くんだよ」というような会話されてました。暗いって嫌なことなのかなぁ?と不思議に思いました。)
07. Bashraf Rast (Tatyus Efendi作曲)
ニゾン大好きです!
08. Ghannili Shuwai Shuwai
この曲で松本泰子さんが入りました。この曲アラビア語の微妙な発音ですが文字で書くと「ガンニリ シュワイ シュワイ ガンニリ ウ(オ)ホダ アイナイ」となります。最初に配られた歌詞カードを見ながら客席も一緒に歌いました。
歌詞の意味は「私の目を取って」=一番大切なものをあなたにあげます、ということだそうです。


09. Bint El Balad (Mohammad Abdelwahab作曲)〜
10. Ibn El-Balad (Mohammad Abdelwahab作曲)
2曲続ける前に西田さんのタクスィーム。ゆったりしていて、地味と言えば地味ですが安定していて存在感がある。
11. Kulli Dah Kan Leih 私の人生に起こった全てのこと (Mohammad Abdelwahab作曲)
ファルハで喜多さんがこの曲の主旋律弾くのたぶん初めて聞きました。後半のアドリブ部分もあって嬉しかったです。(誰が弾くかはバンマスが決めるのだと思います。)


12. Longha Farafaza ロンガ・ファラファザ (Riad Sombati作曲)
濱元さんがフレームドラムで入ります。ソロ回しでは急遽レクを渡されて「君がやりなさい!」という事態もあり見ていて楽しかったです。
アンコール1;Fi youm Wi Laila (In a Day and a Night) (Mohammad Abdelwahab作曲)
実はこの曲、前からものすごく好きなんです。ほんわかしていて楽しいし、ドラマティックだし。
この夜の演奏は、喜多さんは鋭くて鬼才振りを全面発揮するし、カーヌーンはきらびやかだし、コントラバスの弓弾きはどっしりしていて頼もしくその間じゅう喜多さんが高音で奏でる音色(一つの音を伸ばす)に心を掴まれるしで、ますます好きになりました。この演奏を聞くことが出来て良かった!
アンコール2;Layali El Jaza'er アルジェリアの夜 (Mohammad Abdelwahab作曲)
興奮のままダブルアンコールでした。
そして一番最後、和田さんの音頭で「“音や金時”への感謝の気持ちとさらなる発展を願って」3本締め。良い区切りでしたね♪