もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

「墨東綺譚」の地 (長浜奈津子、喜多直毅) @レディ・ジェーン

女優の長浜奈津子さんの朗読と、喜多直毅さんのヴァイオリンが作る世界に浸って来ました。
実は漢字がはっきり浮かばない言葉も幾つかありましたが(恥ずかしい…)、私なりに情景が浮かびました。本当に一瞬も聴き流せない、惹きつけられた時間でした。
2ndセットの最後には「孤独」について考えました。自分が一人暮らし初心者のせいかもしれません。
演奏時間以外に聞こえて来る、お二人の会話や、休憩時間、店内BGMのタンゴに合わせて軽やかに弾く直毅さんのヴァイオリンにはニヤニヤしていました。そういう楽しい時間と、演奏とのメリハリがきちんとしていると、気持ちが良いものですね。

9月16日
長浜奈津子 (朗読)
喜多直毅 (ヴァイオリン、朗読)

1stセット
永井荷風「墨東奇譚」より「玉ノ井夜想〜大江匡とお雪」
左に奈津子さん、右に直毅さん。椅子に座り、譜面台にテキストを置き(直毅さんも譜面ではなかったようでした)スタンドマイク使用。ヴァイオリンはおそらくほとんどが即興演奏だったと思います。弓で弾くだけでなく、チャランゴのように構え指弾きで「花嫁人形」を奏でたところもありました。
直毅さんが読んだのは、「蚊帳の穴むすびむすびて九月哉」など大江の句の部分。女性の語りの中に、男性の声が入ると引き締まります。案外、直毅さん定型詩の朗読が合うのかも。
最後に奈津子さんが読んだ部分は、「紅楼夢(こうろうむ)」の中にある「秋窓風雨夕(しゅうそうふううのゆうべ)」。キリッとして良かった。
2ndセット
坂口安吾桜の森の満開の下
奈津子さん、黒い衣装の上にピンク系のストールをまとって、1stと雰囲気を変えてらした。
女が男にねだり、都で暮らす沢山の人々の首を取って来ます。女がそれで遊ぶシーンは、グロテスクではあるけど、全く嫌な気持ちにはならなかった。まるでお人形遊びのようで、それが生首ですから凄い光景ではある。そういう映像が世間にはあふれているようですが、朗読を聴いて自分で想像するのは又違うことですね。