もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

喜多直毅&黒田京子デュオ@神保町・試聴室

「一時間一本勝負になるかも?」と告知されていたライヴですが、形としては通常の2セットでした。
でも、1stセットは特に、異世界に通じているような、いわゆる「濃い」演奏で、私はとても嬉しかった。大好きですから。

アンコール曲をのぞいて、全てオリジナル曲。
「割れた皿」から「疾走歌」に続き、ほぼ倍速でピアノがテーマを奏でるところ。
黒田京子さんが音楽を担当し、喜多直毅さんと録音した映画(未完成。公開日程が確定すれば告知されるそうです。)のテーマ曲を美しく奏でた次に、体の動きも含めて激しく展開した「黒いカマキリ」。
書きたいこと沢山あるのですが、日常を保つのも今の私には重要なので、続きは後ほど。(金曜日に続きを書きました。)
とても良かったし、客席も賑わっていました。

12月14日
喜多直毅 (ヴァイオリン)
黒田京子 (ピアノ)

01. 貧民窟のテーマ (旧題「板橋区」)(喜多直毅作曲)
02. 割れた皿 (黒田京子作曲)
〜03. 疾走歌 (喜多直毅作曲)
喜多直毅クアルテットでの演奏が続いていますが、それ以前からこのデュオや、北村聡さんが入ったトリオ、齋藤徹さんが入ったトリオでも演奏されていますね。石川啄木の短歌からインスパイアされた曲の一つ。
04. 泥の川 (喜多直毅作曲)
黒田さんがピアノの内部奏法するのはちょっと久しぶり聴きました。紙(たぶん譜面)をプリペアドしたり。

1stセット全体として、曲は曲なのですが即興部分の激しさと深さ、(良い意味での)重さがものすごかった。一時間一本勝負、として構想していたものが土台にあったのかな?それとも、双方のオリジナル曲だけでやると、こうなったのか。わかりませんが、とにかく凄かった。王道を行く美しく歌い上げるヴァイオリンも大好きですけれど、私がどっぷり直毅さんの音楽の世界に惹かれたのはこちらです。

休憩
05. タイトル未定 (黒田京子作曲)
11月のグレコで初演だった曲です。この夏、ドキュメンタリー映画のための音楽を黒田さんが何曲か書いて、喜多直毅さんとのデュオでの録音は終了しているそうです。前に出て挨拶なさった監督さんいわく、映像に音楽をつける作業は一度完成したけれど、より良いものにするために粘って再度考えているとのこと。美しい曲でした。映画の公開が楽しみです。
06. 黒いカマキリ Una Santateresa Negra (喜多直毅作曲)
と、いきなり、急展開して、自分の心の奥底をのぞかれるような鋭い演奏で始まりました。黒田さんは、はじめ、座ったまま何か体を動かしているし。中間部で、ピアノが譜面の旋律を弾き、ヴァイオリンは不思議で魅力的な同じようで少しはずれたような旋律を弾くセンスがとても好きです。
07. Die weisse Rose 白いバラ (黒田京子作曲)
(確か)ナチスによって虐殺されたゾフィー・ショルに捧げて書きました、と黒田さんが告げて始まりました。美しい曲で、途中にドイツ語の歌詞があって黒田さんマイクなしで歌ってました。
08. 闇夜を抱く君に (黒田京子作曲)
はじめ、ヴァイオリンの弦にクリップ装着して演奏。僕の大好きな曲です、と直毅さん。今夜は言わなかったけれど、喜多さんに捧げた曲、とソロアルバム“沈黙の声 the very voice of silence”(今夜演奏された黒田さんの曲は、映画のための曲以外3曲とも収録されています)のライナーノーツに書いてあります。何とも暖かい。
アンコール;青いスカーフ bторая мировая(Vadim Kozin)
1曲だけ、非オリジナル曲。譜面台の一番下の紙は五線譜ではなく、文字が記されているのが見えてました。黒田さんが詩を読んで演奏開始。