もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

楽器屋さんでライヴ! vol.10 (喜多直毅、長浜奈津子)@松本弦楽器 

たっぷり詩と音楽の世界に浸りました。でも、全くだれることがありません。

1stセットの、墨東綺譚より「玉ノ井夜想〜大江匡とお雪」(永井荷風)は、前回、9月に下北沢でやったのと同じ部分だったので、私自身耳で聴いてわからない言葉がほとんどなくなりました。直毅さんが句を読む箇所が二つ。ヴァイオリンを弾きながらですから、喉にある程度の力がかかった状態で声を出しているのですが、負荷があると程よい感じでした。チャランゴ奏法で「花嫁人形」、弓弾きで「大江のテーマ」(私が勝手に命名)と即興演奏。全部で1時間15分くらいでしたか。

2ndセット
永井荷風の珊瑚集より
荷風がフランス近代詩人の作品から選んで訳した「珊瑚集」。その中からヴェルレーヌの詩を7篇。どれも短い詩です。全て直毅さんが朗読したものも一つありました。すごい人だ。
ヴェルレーヌの「秋の歌 Chanson d'automne」
上田敏の「秋の日の ヴィオロンの ためいきの…」という訳が一番有名ですが、それ以外にも4人の日本人が訳した詩があるのですね。奈津子さんが朗読。そして、直毅さんは、バッハのシャコンヌを暗譜で演奏して、次の訳に入る合図を送る。シャコンヌ全部では長いので、初めから弾いて最後は良い雰囲気で詩と同じタイミングで(後半は無しで)終わりました。詩も聴きたいけれど、やっぱりシャコンヌに8割くらい耳を持っていかれました。
オシップ・マンデリシュタームの詩
詩集「石」より一つ。
・パプーシャの詩
この人はジプシー女性詩人。映画にもなったそうで、マンデリシュタームより直接的な表現でした。パプーシャは愛称で、ブロニスワバ・バイスが本名だそうです。
・Alfonsina y El Mar アルフォンシーナと海 (作詞:Félix Luna/作曲:Ariel Ramírez)
海に入水自殺した女性詩人、アルフォンシーナへのレクイエムですね。
まず、奈津子さんが日本語で朗読、ヴァイオリンは静か目。
続けて、奈津子さんギターを弾いてスペイン語で歌う。アルトの歌声がなんてすてきなのでしょう。直毅さんも曲を演奏。すみません、予想以上に素晴らしくて心にグッと来て、涙が滲んでしまいました。

こんなことが出来るヴァイオリニストは、日本に何人いらっしゃるのか。

12月16日
長浜奈津子 (朗読、うた、ギター)
喜多直毅 (ヴァイオリン、朗読)