6月19日13時の回 未練の幽霊と怪物 -『挫波』『敦賀』@神奈川芸術劇場大スタジオ
満席でした。
昨年6月に上演される予定が、パンデミックの影響で約1年延期になった音楽劇です。パンフレットには能『挫波』、能『敦賀』とありました。延期が発表された後に、映像作品『「未練の幽霊と怪物」の上演の幽霊』が作られていて、私はスマホでそれを見ています。
シテ、ワキ、アイ、歌手の方々は生で見るのは初めて。シテの身体の動きには感嘆しました。見事。特に森山未來さんが良かった。台詞回しが独特ですが、去年映像作品を見ていたのでそれほど面食らうことはなく。後シテで登場する時に、ピカピカ光る透明な面?メイク?だったのは意外でした。ワキはワキらしく、観客を日常から劇の世界へつなぎます。太田さんが台詞を発しながら手足を独特の形で動かしていたのが印象的でした。もちろん、シテが注目されるシーンでは気配を消すかのように、ほぼ微動だにしません。アイは口調、動き、全部楽しかったし、内橋さんとの音のやり取りがおもしろかった。
音楽。内橋さんは『挫波』ではダクソフォン、『敦賀』ではレゾナントハープギター(彼が考案した新楽器)を主に演奏し、アイの片桐さんと絡むシーンではギターを弾いてらした。筒井さん、吉本さんはずっとダクソフォン。お二人は打楽器的なところが多かった。あらかじめ内橋さんが作成した音が流されるところもありました。うた、は七尾さんもうたい(地謡、と表現されてる方をネットでお見かけしました)、他の出演者もうたっていました、よね。
題材がザハ・ハディドの新国立競技場と、高速増殖炉もんじゅ。これを能のフォーマットでやる、と聞いた時に、正直、どうかな?と思いました。私はいわゆる新作能が好きではないので。でも、音楽、美術、衣装、舞台装置など、しっかり現代的なもので構成されていて、中途半端さがなく良かったです。
作・演出 岡田利規
音楽監督 内橋和久
能『挫波』
ワキ(観光客) 太田信吾
シテ(日本の建築家) 森山未來
アイ(近所の人) 片桐はいり
歌手 七尾旅人
演奏 内橋和久、筒井響子、吉本裕美子
能『敦賀』
ワキ(旅行者) 栗原類
シテ(波打ち際の女) 石橋静河
アイ(近所の人) 片桐はいり
歌手 七尾旅人
演奏 内橋和久、筒井響子、吉本裕美子