もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

第109回即興演奏会 喜多直毅×齋藤徹@BarBer Fuji

世界でも稀な(たぶん一つしかない) 「即興演奏会をやる床屋」が埼玉県上尾にあるバーバー富士です。定休日の月曜夜開催です。シザーズ・レーベルを運営し、CDショップでもあります。即興演奏会は1988年から始まっています。
http://members.jcom.home.ne.jp/barberfuji/HISTORY.html
今夜は109回目の演奏会でした。
演奏自体とても良かったので、高揚してしまい、ちょっと頭のネジが緩んでしまいましたよ。そして、私自身の生活する基本姿勢を振り返り、これで良いんだと嬉しくなった夜でした。

6月6日
喜多直毅 (ヴァイオリン)
齋藤徹 (コントラバス)

01. デュオ
左側に徹さん、右側に直毅さん。私は最前列の一番右の椅子に座りました。すぐそばに理髪用のハサミの並んだ棚、壁には鏡。小さな床屋さんです。
先週の金曜日に真っ二つに駒が割れたヴァイオリンは、修理されていました。直毅さんが「ああここだよね」と思うぴったりのタイミングでバチンと弦をはじくのは、とてもカッコいい。でも意図した演奏とわかりつつも、何か壊れたのではないか?とドキッとしました。久しぶりに弦に何か付けておもしろい音も出していました。
徹さんは、私が初めて聴く"うた"をコントラバスで歌っていたところがありました。強弱いろいろな音であふれ出る、徹さんのエネルギーを感じました。
一度、二人が小さな弦の音で親密なおしゃべり、ささやき(ここは徹さん指弾き)を交し合うシーンがあって、絶妙な関わりが素晴らしかった。これで終わるのかな…と思ったら、もう一度盛り上がって行きました。最後も小さな音量になって終わりました。ここは徹さん弓で弾いてましたね。
2ヶ月間、お二人でヨーロッパで演奏して今夜が帰国第一弾です。デュオの公演はたぶんパリのサンメリー教会だけで、ドイツでの公演をメインに、いくつかの組み合わせにお二人が参加したり、別々のセッションをおこなったりした様子は、徹さんの日記に詳しく載っています。 http://travessiart.com/category/blog/
途中、体調悪化し入院する事態になり脈拍が30以下になって危険な状態だった時も、ご自身では自覚はなかったそうです。そこから脱して退院するとすぐリハーサルに参加。この方は演奏したり、書いたりしていないとダメな方なのかもしれません。

休憩
02. 喜多直毅ソロ
迷いのない、まっすぐな演奏でした。ますます強くなる直毅さん。(音量とか激しさ、速さということではなくて。)
03. 齋藤徹ソロ
一つの音に、聴衆がこんなに集中する。こういうことって他ではあまり経験がありません。
04. デュオ
真ん中より少し前だったかな、徹さんが「河の始まり」(CD『うたをさがして』に収録)の中の♪ここが かわの はじまり♪の旋律を弾き始めます。その前のシーンでヴァイオリンのネジを緩めてより低い音域を出していた直毅さん、すぐに察してチューニングを元に戻す素早さ。大変だと思いますが、聴いている側はとても楽しい。「河の始まり」はその部分だけで、もう少し後に、勝手に命名しました「夜の沼のうた」もありましたね。火花が散るような激しいやり取りもあったり。ヴァイオリンはまた別の物を弦につけていた部分があったので、後でお聞きすると弱音器だそうです。
即興演奏はどこでどう終わるか、が聴きどころの一つだと思うのですが、たぶん、お二人とも気持ちが一致して終結

いろいろな事がありますが、この音楽の世界を離してはいけないなと自分で反省もし、また、終演後嬉しくて頭のネジは緩み、体力、集中力使ったのでよく眠れました。