もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

喜多直毅Quartette@アスピアホール

この大きな音楽の塊全体を最前列で受けて、魂を抜かれた心地です。今夜は大人げなく、泣いてしまった。
感情の揺れ幅が大きいのは、私個人の今の状況と、クアルテットの演奏、両方の所為です。
堰を切ったのは「残された空」でコントラバスが歌うところから。
辛いことを思い出した訳でも、悲しくなった訳でもありません。
緊張と緩和、なのでしょうか。
喜多直毅クアルテットの音楽を知らない人は、知って欲しい。
私エンターテイメントも実は好きです。でも、それだけでは私には足りない。そんなに頻繁に聴かなくても生きては行けるけれど、無いと駄目なのです。
一度知ったら、蛇に睨まれた蛙です。
駅までの道もフラフラ歩いて、電車に乗りました。

2ndアルバムのリリース記念コンサートが、6月10日(土)に本郷三丁目・求道会館で開催されるそうです。
やった!

4月15日
喜多直毅クアルテット
喜多直毅 (音楽とヴァイオリン)
北村聡 (バンドネオン)
三枝伸太郎 (ピアノ)
田辺和弘 (コントラバス)

プログラム
01. 疾走歌
02. ふるさと
03. 焦土
04. 峻嶺
05. 残された空
(作曲は全て喜多直毅)

滅多にないことですが、朝起きたら昨夜聴いた一つのフレーズが頭の中で繰り返し鳴ってました。たぶんそれは、「焦土」の一部分。直毅さんが12月のクアルテットのコンサートを振り返る文章(Violin Diary 1月1日付け)の中で、韓国のチルチェと言うリズムを元に作った、と書かれている曲です。
余程こころに残ったということかな?
今回のコンサートは60分くらいでしたね。内容がぎっしり詰まっているので、短いとは感じません。この緊迫感、聴衆が集中している雰囲気は他のライヴではあまり経験しません。こういうライヴばかりだと、疲れて、どこかで集中が切れるでしょうから、楽しく幸せな音楽も聴きたい。
でも、「自分って何だろう」「(死にたい訳ではないけれど)いつ頃人生終わるか教えて欲しいなぁ…」とか考える時、喜多直毅クアルテットの音楽は必要なんです。
北村さんが立って演奏するのは2回目ですね。体力がいるせいか、彼が演奏の合間に眼鏡はずして汗を拭くの初めて見ました。前回の立奏の時にお聞きすると「音の響きのためです」とおっしゃってました。
ピアノの三枝さん、今回は内部奏法なし。この会場の方針なのかもしれません。鍵盤以外のピアノの外側は叩いてました。
田辺さんはいつも右端なので、彼の歌うコントラバスも近くで聴きたいけれど、やっぱりヴァイオリニストの近くの席に座りました。でも、よく聞こえ、よく見えましたよ。
直毅さんは、演奏だけでなく自分のオリジナル曲でコンサートの構成をします。サブタイトルは"沈黙と咆哮の音楽ドラマ"。メンバーとアイコンタクトを取りながら、渾身の激しさと繊細さで奏でるヴァイオリンに引き込まれます。(音楽のことではありませんが、シャツの第一ボタンの赤色が素敵でした。)

5月には西日本ツアーがあります。2014年1月、岐阜現代美術館でのコンサート(この時に1stアルバムの録音をしています)は別にして、東京以外でのコンサートは初めてです。奈良、尾道、広島でまた新たな(コアな)ファンが増えて行くことでしょう。楽しみです。