もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

喜多直毅&黒田京子デュオ@エル・チョクロ

しばらく、この場所では平日午後のコンサートをやっていましたが、今日は夜の時間帯でした。
私は今は、昼でも夜でも行ける環境なのですが、このデュオを聴きたくて待っていた方もいらしたのでは?
と、思うくらい賑わっていましたよ。
このデュオはやっぱり、特別です。まず共演年数が長い。デュオ以外にもいろいろな形で共演している。( 北村聡さんとのトリオ、齋藤徹さんとのトリオ、蜂谷真紀さんとのトリオ、「軋む音シリーズ」、翠川敬基さんとのいわゆる第二次黒田京子トリオ)
私は直毅さんがヴァイオリンを弾く腕の下から、黒田さんが鍵盤を奏でる様子が時々見えるという、とても贅沢な席で演奏を聴く事が出来て、とてもしあわせ。
たとえば、「Utviklingssang」の途中で、出番の終わった弱音器をわざと床に落として音をたてる直毅さんとか、「シャリバリ」の主旋律ではないところで、手を叩いてアクセントをつける黒田京子さんが、テクニックもすごい上に自由で、センスが素晴らしいと思います。
もちろん正統派に楽器で歌い上げるところも大好きです。
リリーマルレーンでは、少し歌ったり、ハミングしたりでしたね。
本当に行って良かった!

12月6日
喜多直毅 (ヴァイオリン)
黒田京子 (ピアノ)

01. 割れた皿 (黒田京子作曲)
どっしりとした深みがあって、ああ、「喜多直毅&黒田京子デュオ」だなぁと思う。
02. 五木の子守唄 (熊本民謡)
日本の旋律を西洋楽器で聴くのはあまり好きじゃなかったけれど、喜多直毅のアレンジだと、好きと嫌いの分岐点から4割くらい好きの方に傾きます。
03. Les Yeux Ouverts 瞳を開いて
Enzo Enzo というフランスの女性歌手が歌った曲。ゆったり明るいポップス。
直毅さん、弦にクリップを付けて、自由にいろいろな音を奏でる。
ところで、ネット翻訳で見ると、瞳を閉じて、ではなく開いて、だと思うのですが。
04. 黒いカマキリ Una Santateresa Negra (喜多直毅作曲)
以前演奏中に楽器が壊れたエピソードの紹介MCがあってこの曲でした。なので、ちょっと聴き慣れない音色があると、じっとヴァイオリンの駒を見て[壊れないで!]と念じていました。

休憩
05. Utviklingssang (carla bley)
ゆっくりした一つのテーマが滔々と進む曲。一番最後は静かに、そして最後の一音は敢えて無しにして終わりました。
06. Be My Love (Keith Jarrett)
07. シャリバリ
ヴァイオリンが即興的に独奏している時、黒田さんはピアノをコンコンコンと叩いたり、靴音や手拍子(フラメンコのパルマ?のように)で、応え、土台を支えていた感じがしました。
08. Die rote Rosa 赤いローザ (ブレヒト、ワイル)
〜09. リリー・マルレーン
2曲続けて戦争に関連した曲、というMCでした。ローザは、反ナチス運動をして虐殺されたローザ・ルクセンブルクのことです。
リリーマルレーンは有名な曲ですね。後半、黒田さんが静かに歌い、直毅さんはハミングし、客席からもハミングする声が聞こえたようでした。
10. Happy X'mas - War is over (John Lennon)
10日ほど前にあった田中信正さんとのデュオではこの曲を聴いて私は泣いたけれど、今夜はもう泣きません。
アンコール;闇夜を抱く君に (黒田京子作曲)
黒田さんが「喜多直毅に捧げた曲」です。2011年6月の"軋む音vol.4 繭虫"の時に作ったと、黒田さんのソロアルバム「沈黙の声」のライナーノーツに書いてありますね。タイトルは重いイメージもあるけれど、暖かい曲。
"軋む音"シリーズ、再開して欲しいです。