もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

10/9 志らくのピン@渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール

10月9日
志らくのピン」という名前で、この会場でやるのは最後から2番目。
12月はよみうりホールの「今年最後の立川志らく独演会」があるので。


一つ目
立川らく次の落語。
楽しかったけれど、この後の志らくの印象にぶっ飛ばされて、何をやったか思い出せません。すみません。
※朝になって思い出しました。「松曳き」でした。
二つ目
立川志らく「二十四孝」
よく笑いました。キーワード“天の感ずるところ”
三つ目
立川志らく「片棒」
3人の息子(長男・はるお、次男・ひろし、三男・克由)のうち誰に家を継がせるか。自分のことを本当に思ってくれているのは誰なのか。息子の本心を知りたい吝嗇な大旦那(赤螺屋(あかにしや)ケチ兵衛)が、「自分の弔いをどういう形でやるか」一人ずつ聞いて、息子たちの了見を知ろうとします。
古典落語なのですが、そこに志らくは自分の好きなモノ全部入れ込んで、もう…凄かった!
それぞれのテーマは、長男が映画、次男が懐メロ、三男は談志。
いわゆる「志らく右翼」(思想性でなく、志らくファンはこう呼ばれるらしいです)なら、彼がこの三つをどれだけ愛しているか!感嘆ものですよね。
映画では、ジュリー・アンドリュースになり英語で歌い切る。黒澤明監督の「生きる」のシーンもありました。
懐メロには、現代人向けの工夫があって、歌詞とメロディの交換(七五調だと割と合うのです)とか、ありました。そうでもしないと、ホントに知らないですから。私が聞き覚えのある曲は、4割弱くらい。最後は、「懐メロチャンチャカチャン」、つまりいろいろな曲の有名なフレーズを尻取りのように、次々歌うのです。
喉も枯れないし、低音も響くし、呆れました。


仲入り
四つ目
立川志らく文七元結」(ぶんしちもっとい)
あれだけ歌い捲くって、最後に泣かせる。
今夜のチケットを買ったのは、この演目があったからです。
絶対自分は泣く、と予想した通り、泣きました。(YouTubeでも何度も泣いてます)(私ほど泣いてた人は少ない感じでした。ので、こりゃ病気だなぁ…と思いました。)
でもね、志らくは、ただ泣かせてお客を帰しはしないのです。
最後に、父親は博打の果てに女物の着物を着て、母親は貧乏で腰巻きもなしで半纏だけ、吉原に自ら身を沈めようとしたけれど、無事戻った17歳の娘は美しい身なりで、三人で会えた事を泣いて喜び、抱き合うシーン。
訳を知らずにこれを見た長屋の隣人は、気が違ったんじゃないかと思った、と笑いで締め括って終了でした。


全くの初心者「志らく右翼」ですが、今夜は一番良かったかも。
鎌倉で7月に聴いた「やかん」「らくだ」と一、二を争う感じです。
来月の志らくのピンの演目が、これまた「疝気の虫」「死神」「紺屋高尾」。
ああ、きっと高尾で泣くだろうなぁ…。


なお、今まで毎月やっていた「志らくのピン」は、来年から年に4回、国立演芸場で「立川志らく落語大全集」というタイトルでやるそうです。
もう日は決まっていて、1月13日(火)、4月13日(月)、7月13日(月)、10月13日(火)。