もとこの音楽感想日記

生で聴いた音楽の感想など

喜多直毅Quartette@公園通りクラシックス

2011年4月に結成されてから、4回目のライヴでした。
1時間強集中して聞き、終わって拍手する手に力が入らないくらい素晴らしかった!


このQuartetteのことを心の底から全部好き!と思ったのは今夜だなぁ。
「リーダー喜多直毅」「全てオリジナル曲」のQuartetteに強烈に納得しました。
もちろん、ヴァイオリンの音色、愛してます。


7月17日
喜多直毅(ヴァイオリン)
北村聡(バンドネオン)
三枝伸太郎(ピアノ)
田辺和弘(コントラバス)


「悲愴 肺の中のシベリアを行く」
※作曲者は全て喜多直毅
01. 死人
02. 少年兵のテーマ
03. 轍(わだち)
04. 春
05. 酒乱
06. 踊り子
07. 悲愴
08. 残された空
(配布されたプログラムに「アンコールはございません」と明記されていました。)


開演直前までエアコンが強めに入っていたのは、始まったらスイッチを切る為だったのか?
会場内に余計な雑音が殆どない。
後方のグランドピアノに三枝さん。(「ミエダ」さんです、念の為)左から、椅子に座って、直毅さん、北村さん。右端に田辺さん。


美しく透明な「死人」から始まった。
「轍」が一つの頂点で、1回だけ直毅さんは木製の笛を吹き鳴らした。
続けて、「春」。少し懐かしさを感じた。バンドネオンがテーマを奏でる。わたし、バンドネオンのなかでは北村聡さんの音色が一番好きです。
田辺さんがコントラバスで歌うのが、うっとりするほど素敵だった。
あの…世界で一番好きなコントラバス奏者は、揺るがず齋藤徹さんですけどね。
4人のバランスがすごく良い。(もしかしたら、後方の席ではヴァイオリンがやや小さい箇所もあったかもしれません。)
音量のことだけでなく、精神面で4人がしっかり立っている感じ。直毅さんはリーダーであり、表現者として行きたいところへ行ける。
「酒乱」の特徴あるアクセントを聞いて、この曲の初期の形を思い出した。
曲の紹介やその他のMCはいっさい無し。プログラムに目を通しておいて、演奏中はひたすら聞いていた。
だれることがない。終わった譜面をめくって床に落とす時間は僅かにあったが、空気は継続する。かといって、張り詰めた緊張感とはちょっと違う。演奏者が辛くはないからだと思う。
「悲愴」というタイトルからチャイコフスキーを連想した。(曲想がチャイコフスキーに似ていた訳ではありません。)曲はいくつかの部分から構成されていたようだった。
このあたりから、自分の心臓の音が感じられた。
最後の「残された空」は、先週甲府、松本で演奏されて今夜は3回目。連続して聞いたので、物覚えの悪い私でも覚えていた。あたたかい。
すべて終わり、静かに楽器を肩からおろす直毅さんの前で、私は少しのあいだ何もせずに浸った。
そして、無理せずに小さく拍手して、感謝しました。


7月25日追記
客席にいらした齋藤徹さんが、ブログにこの日の事を書かれてます。リーダー氏からのコメント、徹さんのコメントもありますね。
http://travessiart.com/blog/6012/